母国への憂いを今思う・・・「憂国のモリアーティ」より
時は、産業革命の真っ只中、階級社会の英国で起こる「犯罪卿の活躍」を描く。
モリアーティといえば、コナン・ドイルの推理小説「シャーロック・ホームズ」の
宿敵として登場し、作者がシャーロックの最後の道連れとして選んだという人物だ。
もちろん、小説上の人物ではあるが、実社会を反映させている物語では、
まるで実在していたと思わせるのに充分である。
コナン・ドイルの小説では、もちろん悪人として登場しているし、
このアニメでも貴族階級の特権を利用した「犯罪卿」を名乗る悪党なのだが、
日本の時代劇で言えば、「必殺仕事人」のような立場であろうか😁。
小学校5、6年生の頃、推理小説にはまっていて、
市内の図書館に毎週末借りに出かけていた。
お気に入りは、「ルパン」でもちろん全巻制覇し、
その図書館にある推理小説は撃破していたと思う。
もうひとつは、SF小説で、これまたそこにあるものはほぼ読んでいたと思う。
将来は、地球の外に出るべく、天文学者か宇宙飛行士などと夢見ていた。
天体観測も流行っていて、望遠鏡は等々買えなかったが、
よく屋上(当時親が建てた家が無駄なくらい広い屋上があった)で
夜空を見上げていたものだ。
「憂国のモリアーティ」は、UNextで「名探偵コナンシリーズ」が
全巻見られるということで、お試し期間中に見てしまおうと目論んでいたところ、
同じところに、このアニメが紹介されていた。
見つけたのは今から思えばラッキーであった。
漫画家という方々は、きっとタイムトラベラーなんじゃないかと思っている。
過去も未来も行き来して、さりげなく危ないギリギリのところで、
今生きている時代を描いている作品は多い。
一見、突拍子もないような設定や、キャラクター達のようでありながら、
現実味満載ということも大人でも楽しめる要因だ。
イギリスの産業革命といえば、その象徴でもある「アイアンブリッジ」。
世界遺産にも登録されている世界最古の鉄の橋である。
実は、この橋のある市に住んでいたことがある。
もちろん、有名な観光地でもあるこの橋を見に行った。
よく言う、札幌の時計台と同じで、その歴史的価値よりも、
見た目で、えっ?となってしまうくらい小さな(今の時代からすると)橋なのだが。
自動車は左側通行で運転しやすいし、
イギリスは、5月に3〜4日晴れの日が続くと、
「今年の夏は終わった」と新聞に掲載されるとか、
ウェールズに行くと、必ずウェールズ語は話せるか?と聞かれたなど、
思い出は尽きないが、
今のように、インターネットが普及していない頃で、
PCもとてもややこしく思えて、始めなかったことは少し悔やんでいる。
今も、当時のような情報収集力だったらと思うとぞっとする。
圧倒的な曇り空の下で、エバーグリーンの芝生が延々と続き、
たくさんの羊がその草を食べている様子を美しいと感じながら、
計画のない旅を楽しんでいた。
それはそれで運がよかったのだ。
知らぬが仏だったのかもしれない。
2018年、橋は修復され赤く塗られた写真がウキペディアに紹介されていた。
当時の日本は江戸から明治時代にあたる変革の時。
また100年を経て、変革の時を迎えている。
以来、イギリスには行っていない。
この赤く塗り替えられたアイアンブリッジを見る時は来るだろうか。
海を超えた「旅人」を諦めてはいないから。